コラム
みちしるべ
2019-01-11
今年の業界団体リーダーの年頭所感を拝読すると、総じて技術者不足と就労者不足だ▼公共事業は今、災害対応を含めた国土強靭化への集中投資や老朽化する社会インフラの改修改善など、建設需要は高まっている。その中でそれを支える人材不足問題の深刻さを訴える。働き方改革や労働環境の整備、処遇改善に向けた建設キャリアアップの推進などの各施策も進むが、その成果はそれ相応の時間を要す。現在の若者が建設業に求める魅力は何か。生きがいややり甲斐の他に、プラス見栄えも求める。一方、企業は業務内容の質を一層高め、生産性をより以上に求めなければならない。業界自体がいかにイノベーションできるかの時代に入っている▼御世を惜しみながら新時代へ幕開けする平成31年は、変革の年になりそうだ。(雀)
みちしるべ
2019-01-10
「人手不足倒産」という言葉を最近よく耳にする。東京商工リサーチによると、人手不足を原因とする国内企業の倒産件数は、2018年1月から11月までで362件に上っており、13年の調査開始以降で過去最多の数字になっているという▼特に顕著なのは、飲食業や介護事業などの「サービス業」。また、職人・技術者の高齢化から「建設業」も深刻な状態となっている▼世間的にあまり知られてはいないが、建設業は、ドローン(UAV)の活用や、無人化施工の話が出てくるなど、最新の技術が使われている。昔と比べて、より効率化していこう、より自動化していこうとする動きが活発だ▼建設業は最先端の産業になりつつあるという認識を、もっと若い人たちに持って欲しいと思う。(鴨)
みちしるべ
2019-01-09
年の瀬にちょっとした寒波による降雪はあったものの、総じて穏やかな年末年始だった山陰地方。「雪が降らなくて本当にいいですね」。年始のあいさつでも思わず口をついて出る▼建設業界にとって、今後の降雪に関する予報も気になるが、今年4月に施行される残業時間に罰則付き上限規則を設ける働き方改革関連法も大いに気がかりだ▼建設業には5年の猶予期間があるとはいうものの、本紙の新年特集でも指摘しているように「5年の猶予は決して長いものではない」▼公共工事に比べ競争原理が働く民間工事が9割以上を占める建築業界は特にそうだ。「どう向き合えばいいのか」。年始のあいさつでもこの話題が出た。経営の根幹にかかわる問題だが、これといった処方箋がないのが実情か。(鶯)
みちしるべ
2019-01-08
好きなもの「・・・懐手して宇宙見物」。物理学者・寺田寅彦は明治11年11月28日の寅年・寅の日に東京で誕生。名随筆家でもある。昭和10年12月没。享年57歳▼科学と文筆の二刀流の寅彦に、次の一文がある。「季節風のない西洋には「春風」も「秋風」もない(中略)。ニヒリズムやマルキシズムが生れても俳句が生れようとは想像されにくい」▼江戸を襲った「安政の大地震」(1855)はM7。死者は2万人を数えた。鉄道も水道も電力網もない時代。科学が発達すれば、被害は想像を絶す、とすでに達観。「3・11」直後、専門家は寅彦に縋った▼13ヵ国語を習得。俳句・絵に加えピアノ・紙切りもという才人。「災害を忘れると寅彦がやってくる」という格言も。今年こそ「寅彦博士に休息」を。(雉)
みちしるべ
2018-12-28
今年も残りわずかとなった。きょうが仕事納めになる企業も多いだろう。もっとも除雪を担当している建設業者には、暮れも正月も関係ないと怒られるかもしれないが…▼今年の漢字「災」に象徴されるように豪雨、台風、豪雪、地震など深刻な自然災害が印象に残る1年だった。安全で安心な暮らしを支える建設業者の役割は今後ますます重要になっていくだろう▼本紙では来年1月3日号から掲載される新年特集で、平井伸治知事、石破茂元自民党幹事長をはじめ、多くの方に新年の展望について伺いました。お読みいただけば、建設業界が今後取り組むべき課題が見えてくるはずです。お楽しみに。今年もご愛読ありがとうございました。それでは良いお年をお迎えください。(鷹)
みちしるべ
2018-12-27
平成最後の年の瀬が終わろうとしている。来年5月1日には新しい元号に代わる▼30年ほど前の今の元号の平成の発表があった日のことを今も覚えている。1989年1月7日、午後2時36分。確か車のカーラジオで聞いた▼小渕恵三官房長官(当時)が記者会見した。「新しい元号は『へいせい』であります」。夜にテレビニュースで「平成」と墨で書かれた文字を見て、どことなく実感が湧いてきた▼生まれて初めての改元の経験だったのと、若さのせいもあり、新しい時代の訪れを感じた。「平成」を使った会社も誕生した▼新しい元号は来年の4月1日以降の発表とされているが、どういう元号になるかは勿論のこと、その時の自分の受け留め方がどういうものになるのか、年齢を重ねた今、自分事ながら楽しみだ。(鵲)
みちしるべ
2018-12-26
新年度に向けて明るい兆しが見えてきた。19年度政府予算案の公共事業費は、消費増税対策や国土強靭化の臨時・特別措置8500億円が上積みされ対前年17%増の総額7兆円弱に。当初予算ベースでは10年ぶりの高水準になる▼西日本豪雨など災害を受けて実施したインフラ点検を踏まえ、国土強靭化の「3カ年緊急対策」をまとめたことが大きい。なかでも新年度の治山治水は対前年32%の伸びで、堤防かさ上げや河川掘削の対策も前進しそうだ▼毎年の予算に左右される業界は、1年先しか見渡せなかったが今回は違う。18年度第2次補正から19年度、20年度当初予算と向こう3年間の予算がある程度確保された▼災害復旧現場での人手不足があらわになり、この機会に働き方改革や人材確保の下地をしっかりと固めていきたい。(鷲)
みちしるべ
2018-12-25
豪雨・竜巻・地震・噴火・・・の大災害。種々の大事故、大事件が頻発。大きく動いた政治、経済。明より暗の方が、脳裏に残る戌(いぬ)年。その戌年が幕を閉じ、亥(い)年へバトンタッチする▼亥年。十二支亥は、いのししや豚の骨格を描いた象形文字。「骨組み」や「核」を表す、と事典。亥は十二番目で、全ての骨組みが出来上がった状態を表すと同事典。また、「亥」は最後までやり遂げる▼亥年生まれの歴代総理は子年と並びトップタイの8人いる。阿部信行、東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみや・なるひこおう)、片山哲、芦田均、池田勇人、鈴木善幸、羽田孜、鳩山由紀夫の8氏。巳年は福田赳夫氏のみ▼年末の政治は、海外、国内とも波乱含みだった。輝かしい初日の出、新年を待ちたい。(雉)
みちしるべ
2018-12-21
2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博を前に日本では急ピッチでインバウンド対策が進められている。対策の一環として推し進められるキャッシュレス化。決済システムの不具合、不正利用―トラブルが世間を賑わせている▼現金使用率が先進国の中で圧倒的に高い日本。現金利用が根強い理由の一つはATMだ。いつからか全国どこでも自分の口座からATMで現金が引き出せるようになっている。ATMの手数料は国内の銀行にとって大きな収入源だ▼キャッシュレス化のインフラ整備を推し進めればATMの利用数が減る。しかし硬貨、紙幣の製造コストも恒久的に削減できるだろう▼変化を恐れず、技術の進歩と足並みを揃えなければ世界に置いて行かれてしまう。(鶴)
みちしるべ
2018-12-20
鳥取県での移動手段といえば車。どこへ行くにも車。鳥取県の自動車保有台数は全国でも上位で、特に軽自動車はトップ5に入る▼今、県内では鳥取西道路や北条道路など、多くの道路新設工事が進んでいる。道路事業は非難を浴びやすく、財政縮減の敵にもなりやすい。しかしどの地域でも商業施設が集まるのは使い勝手のいい幹線道路沿い。道路の周りにお金は落ちてくる▼地方では高齢者もなかなか車を手放さない。さらに、これからは自動運転の時代になり、高齢者も障害者も車を使う機会は確実に増える。ただいくら車が自動でも道路がなければ役に立たない。今の環境を守るのか、新しい道路を開発するのか。それぞれにメリット・デメリットはあるが、あとはそこに住む人々の選択の問題だろう。(雛)