平井知事/「地元発展の足がかりに」/米子―境港間・中央ルート/五つのIC予定地も評価
中国横断道岡山米子線のうち米子―境港間を結ぶルート帯の対応方針案が決定したことを受け、平井伸治知事は2日、「地元の大きな発展に向けた足がかりになる」と述べて歓迎した。
ルート帯3案の絞り込みの中で、国交省の社会資本整備審議会道路分科会中国地方小委員会は、生活・自然環境への影響を踏まえ「中央ルート帯」(延長約20キロ)と呼ばれる方針案を決定した。事業費は3500億円~4500億円と他案よりも経済的で、都市拠点と物流拠点へのアクセス機能にも優れる。
米子―境港間は、中海・宍道湖周辺を結ぶ「8の字ルート」の一部を形成しており、平井知事は「夢のような中長期的なビジョンにとどまっていた感があったが、具体的な形が整ってきた、そんな歴史的な瞬間だと思う」と手応えを語った。
また、平井知事は中央ルート帯に合わせて、初めて提示された五つのインターチェンジ(IC)にも着目。皆生温泉や夜見・富益工業団地、米子空港などの候補地が挙がっており、「いずれも産業・観光振興、交通の利便性を考えると、待望していたところにICの予定地が示された」と評価した。
今後は国交省がルートの概略を正式決定すれば、国と県、関係3市村による環境影響評価(環境アセスメント)や、都市計画決定に向けた手続きが進むことになる。平井知事は「できるだけ早いタイミングで手続きが進むように、県としても尽力していく」と述べ、事業に協力する姿勢を強調した。
ルート帯の方針案決定を歓迎した平井知事
日本技術士会/今年も多くの講師派遣/県の防災士養成研修に
「鳥取県防災士養成研修」が県内3会場で始まり、日本技術士会県支部(平尾繁和支部長)が講演や防災ゲームなどを通じて防災士としての役割を伝えている(=写真)。研修は10月31日の西部会場に続いて14日に東部、12月19日には中部でも開くことになっており、同支部は各地区に技術士を講師として派遣する。
県危機管理局が主催する防災士養成研修は、毎年この時期に県内で開催されており、日本技術士会ではアドバイザーとして研修を支えている。このうち米子市福祉保健総合センターであった西部地区の研修には防災士を目指す74人が参加。技術士会、鳥取大学、気象台、県の関係者らが講演した。
このうち、同会の伊藤徹名誉支部長は「自主防災活動と地区防災計画」をテーマに講演。「今年も地震や局地的な豪雨災害が相次いで発生しており、防災士の役割がさらに重要になった」と話したほか、同氏が町内会などで取り組む防災マップ作りの事例も紹介。「防災士は日ごろから積極的に地域の活動にかかわることが大切。そのためには、正しい知識と正確な伝え方を身に着けることや想像と創造が防災には重要になる」と受講者に伝えた。
このあと、同支部の西村悟之防災委員長が進行する災害をテーマにした防災ゲームを通じて地域防災力の向上に向けたヒントを探った。同支部では「受講者には高校生もいた。多様な年代の人が防災に携わることで、様々な意見や考え方が身につくと思う」と話していた。
米子―境港 高規格道路を読む/第1回 交通の量と流れ/日中の大型車比率9.5%/新開、朝夕の5.5%上回る/交差点は従道路にも課題
米子―境港間高規格道路を巡り、中央ルート帯を適当とする対応方針案が国の審議会で了承された。今後の事業化に向けては、地域のどの拠点をつなぎ、交通を受け止めるかが焦点になる。公開統計や審議会資料を基に、「現道の交通」と「沿線の産業集積」の両視点から地域の現状を読み解き、整備に向けた論点を2回に分けて探る。
県は国の対応方針案への同意に際し、整備効果を十分に発揮させるため、アクセス道路の検討・整備に取り組む意向を示した。高規格道路と沿線の拠点を結ぶ一般道側も、計画を具体化する上で重要な要素となる。
現道の交通状況の例として、米子市新開の国道431号を取り上げてみたい。2021年10月28日の道路交通センサス観測では、9~16時台の8時間に全車に占める大型車の比率が9・5%だった。7~8時台と17~18時台を合わせた4時間は5・5%。この日の観測には、総交通量だけでは見えない、時間帯ごとの車種構成の違いが表れている。
公表された配置案では、皆生車尾線周辺の接続検討位置に、観光や救急医療、市街地などへのアクセスが考慮されている。温泉地や医療機関までの移動を支えるには、本線の速達性に加え、目的地までの既存道路とのつながりが重要になる。
その接続を考える際は、交差点で「どちら側から入るか」も見逃せない。25年度の県道路交通渋滞対策部会資料によると、労災病院入口交差点では、皆生温泉側から県道皆生車尾線を通って進入する方向で速度が低かった。24年4月~25年3月の平日平均では、7~18時台の全12時間帯で旅行速度が時速20キロ以下だったという。
同じ交差点でも国道431号の境港市側からは0時間帯、鳥取市側からは3時間帯。皆生車尾線の米子市街側からは0時間帯だった。25年8月7日の合同現地点検でも従道路の渋滞が確認され、部会資料には経過観察を続ける旨の記述がある。
高規格道路への交通分散を考える上でも、接続先の交差点の状況を方向別に捉える必要があるだろう。どの道路を通って本線に入り、降りた先でどの経路をたどるか。観光や医療、日々の暮らしを支える道路網の中で、本線とアクセス道路をどう組み合わせるか、今後の具体化の過程で注視したい。
県土整備部/「土木一般」も検討材料に/江府道路・久連TN舗装工
江府道路・久連トンネル(江府町久連~洲河崎)の舗装工で、県土整備部は発注方法の検討を進めている。当初、想定していた「舗装一般」にこだわることなく、「土木一般」での発注も視野に入れ、慎重に条件を詰める。
トンネル延長2609メートルのうち、日野川上流側から910メートルのコンクリート舗装を施工するもの。工事費は4億円近く。
発注にあたっては2社JVを前提に、県内地元業者を優先する考え。ただ、トンネル舗装の実績を持つ県内業者が数少ないことが難点。
施工の中身は土木工事が半分近くを占めており、舗装一般に限らず土木一般での発注も検討範囲に入ってきた。だが、土木一般にしても同種工事実績のある業者が少ない現状に変わりはなく、かえってJV代表者に課せられる格付け点数1290点以上がハードルにもなりかねない。
来年度以降は2工区目の発注を控えており、同部は今回の条件設定に神経をとがらせる。
同部は来週に開く審査会でJV代表者と構成員の公募条件を話し合うという。仮に土木一般での発注では簡易評価型総合評価の対象になる。
測協西部/地元企業への発注確保を/米子市に要望書提出
県測量設計業協会西部支部(井上孝之支部長)は、米子市の伊木隆司市長に、公共土木関係業務での地元企業の活用に関する要望書を提出した=写真=。
測量設計業界の現状を市に知ってもらうために企画した。要望書では、物価高や担い手不足、人材確保に向けた賃上げなど、会員企業を取り巻く厳しい経営環境を説明。
県の公共土木関係予算が東部に比べて西部で少ない状況にも触れ、西部地域の人口規模や地元企業の地域経済・雇用への貢献を踏まえた発注を求めた。
具体的には、計画的・継続的な発注量の確保、地域精通度や災害時の対応力を評価した受注機会の拡大、業務分割や発注時期の平準化による発注環境の整備の3項目を挙げた。
中央ルート案で事業化へ/米子境港間の高規格道路/国交省中国地整
中国横断自動車道岡山米子線の米子-境港間高規格道路のルート帯で、国土交通省中国地方整備局が、中央ルート帯案が適当と判断した。事業費3500~4500億円が見込まれる整備内容で、2日に広島市内で開かれた社会資本整備審議会道路分科会中国地方小委員会で了承=写真=。新規事業化に向け、手続きが前進する。
同局は高規格道路の計画段階評価で、弓浜半島・日本海側の東側、中央部、中海側の西側を通る幅約1キロの3ルート帯案を示していた。
委員会で局は、沿線となる米子、境港両市、日吉津村の住民アンケート、関係自治体や団体への聞き取りなどの結果、輸送時間の短縮、自然災害に伴う代替路の確保、自然環境や景観への影響、工事中の交通規制による影響、家屋移転や集落への影響などを重視する意見が多く、東側と中央部が西側と比べて優れ、その上で中央部が都市拠点と物流拠点の双方へのアクセス性、自然環境に配慮した案として「総合的に優れている」と説明。
延長約20キロで設計速度は時速80キロ。産業拠点、防災拠点、観光拠点などへのアクセス性に配慮し、ルート帯内に地域の主要道路との接続を考慮して5カ所を候補にインターチェンジの配置を検討するとした。委員会では、中央ルートは高架区間が短いため、一定の用地買収が必要となるとして、委員から見通しを尋ねる質問などが出たが、異論なしとして了承された。
中央ルート帯案に対し、意見照会を受けた県は「同意する」と回答。回答書に、早期の事業化を求めるとともに、整備効果を十分に発揮させるためのアクセス道路の検討、整備に取り組むなどとの文言を盛り込んだ。国交省は今後、都市計画・環境影響評価、新規事業採択時評価へと手続きを進める。
中央ルート帯案は、山陰道の米子ジャンクション(JCT)付近から市街地を抜け、国道431号周辺を通る。山陰道との重複区間は約2キロ。ケヤキ並木や米子水鳥公園を回避するため、自然環境への影響が小さい。高架化する区間も短いため、事業費や維持管理費が安価となる。
東側ルート帯は延長約20キロ。全線を国道431号の道路空間を活用し高架構造とする。事業費4300~5300億円。浸水の回避、国道431号の代替性の確保が見込まれる一方、工事の交通規制による影響が最も大きく、全線高架化で事業費や維持管理費も最も高額となる。ケヤキ並木の撤去も必要で、景観形成重点地域への影響が懸念される。
残る西側ルート帯は延長約24キロと、3案で最も長い。山陰道の米子西インターチェンジ(IC)付近から中海上を経由し、市街地を極力回避。山陰道との重複区間は約7キロ。事業費は3700~4700億円。境港市から鳥取大医学部付属病院への速達性が最も向上するほか、安来市方面など島根県側とのアクセスが改善する半面、地域分断や集落への影響、移転物件数は最も多い。水鳥公園など自然環境への影響も課題となるとしていた。