コラム
みちしるべ
2019-05-20
令和元年度の県土整備部予算は、10年ぶりに500億円を突破する見通しになった。予算編成中の6月補正で過去最大級の260億円を肉付けし、補正後の総額は529億円規模。前年度同期を60億円も(13%増)上回る▼補助の岩美道路30億円、倉吉関金道路10億円など地域高規格道路は前年比41%の大幅増。交付金事業も「防災・減災、国土強靭化のための緊急対策」によって重点配分された▼中身をみても県内業者向けの仕事量は確実に増えることが予想される。昨年の災害復旧工事を巡る入札不調からしても、ここ20年で業界の機動力は明らかに低下してしまった▼仕事量が一定程度見込まれるなか、急がれるのは若年雇用をはじめとする経営体制の立て直しだ。賃金アップなど待遇改善は待ったなし。業界自らが腰を据えて取り組みたい。(鷲)
みちしるべ
2019-05-17
「祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり」(平家物語)。「古代インドにあった僧院。サンスクリット語が漢訳で、祇樹給孤独園(ぎじゅぎっこどくおん)精舎」。この省略が祇園精舎で生者必滅の理を表す▼この響きにあるように「音」は時代を表す。明治時代は「文明開化の音」、大正時代は「大正ロマン」、竹久夢二のように「人情の哀音」。昭和時代は「公衆電話からテレホンカードが出てくる音」も。平成時代は▼『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)にも、「音は社会を映し出す」。たとえば「建てつけの悪いドアをあけ、ガタピシと鳴る階段をあがる」。ずっと以前、あった音が今はない▼「すかすか」=容器に対し中身が足りず、隙間が多くある様子。先の10連休には、「ノー」が大半だった。(雉)
みちしるべ
2019-05-16
「百聞は一見にしかず」ということわざがある。意味はご承知の通り。見ることで得られる情報の量や正確性は疑う余地がなく、とても説得力のあることわざだ▼だからと言って、決して聞くことが無駄というわけではない。目に見えない、見ても分からないものはたくさんある。むしろ見えてこないものの方が重要な場合も多々ある▼さまざまなデータや統計から担い手不足は喫緊の課題だと認識できるが、実際に人手不足が起きている現場でどのような弊害が起きているかまでは把握は難しい。問題を解決へ導くには画面や表に現れない事柄を聞き出し、深く掘り下げる作業が必要になる▼報道の使命は情報を正確に、早く、広く発信することだ。建設業界の明るい未来のために何百回も取材し、一見のために百聞する。(雛)
みちしるべ
2019-05-15
全国測量設計業協会連合会中国地区協議会(大野木昭夫会長)を構成する5つの県測協が9日、大規模災害で相互応援協定を結んだ。切っ掛けは、やはり昨年7月の西日本豪雨災害▼広島の災害は周知の通り現在もまだ災害査定が終わってやっと設計に入ったような状況。広島県測協の会員だけでは全然手が足らない。以前、九州の災害時には九州地区の会員が協定支援をした▼今回は広島だけでなく岡山も山口(岩国)も、そして鳥取県も東部で被害を受け、辛うじて島根県だけが少なかった。そうした事情もあって支援要請を受けてもなかなかそれに応えられなかった▼また、支援内容の調整にも時間がかかった。こうした教訓を生かし「備えあれば患いなし」。今後の大規模な災害に対してより迅速な支援体制が一つ整った。(鴉)
みちしるべ
2019-05-14
長い連休だったこともあるが、気づけば5月も中旬。梅雨入りも遠くないと思うが、今年の雨はどうか。気象の知識はないが、雪が少ない冬だったから、雨が多く降るのではないのかと心配する▼昨年は、夏に西日本豪雨。その後も台風によって、県東部の智頭町などでは、大きな被害を受けた。復旧工事はまだ進んでいないから、被災地に豪雨が発生すれば、大変なことになりかねない▼危ない場所は早急に手を打つべきだろう。行政は早めに注意を呼びかけるが、自分が暮らしている地域は大丈夫だろうという気持ちを多くの人は持つ。避難の遅れが大惨事につながる▼地域から行政に出される要望の多くは公共施設の整備が占める。実現までには難しい課題も多くあるが、危険を見逃すことはできない。(鷺)
みちしるべ
2019-05-13
本紙受注NEXT2018年度確定版による県下1カ年間の建設事業量は、昨年度より約112億円の増加していた。18年度当初は鳥取西道路や境港漁港高度衛生施設、中央病院建設など大型工事の終盤によって事業量の大幅減少が危惧されていたが、結果的には昨年7月の豪雨災害復旧事業を中心に、178号岩美道路、境港貨客船T棟新築、9号北条道路事業などの工事によって増加となった▼今年度は脆弱な国土保全に向けた国土強靭化事業が集中的に進められることで、事業増が見込まれそうだ▼一方で、今年10月には消費増税が予定されている。実施されると、可処分所得増額感が乏しい地方経済は一気に冷えこんでしまう恐れがある▼建設事業量の安定的な供給こそが地方経済を支える根幹施策といえる。(雀)
みちしるべ
2019-05-10
連日報道される交通事故のニュース。8日には、大津市の交差点で乗用車と衝突した軽自動車が、そのはずみで保育園児らの列に突っ込み、多数の死傷者が出るという痛ましい事件も起きた▼実際に事故を起こした人を対象とした調査では、ストレスを強く感じている人ほど、事故回数が多いという結果が出ている。ストレスがたまり、イライラしている時に自動車に乗ると、運転が荒くなり事故を起こしやすくなるのだろう▼労働災害も同様で、普段であれば容易に対処できることであっても、高ストレス状態では認知機能が正常に働かず、事故を起こしてしまう可能性が高まる▼現代人は皆、何かしらのストレスを抱えていると思うが、そのストレスを少しでも和らげられるようなツールを常に持っておきたいものだ。(鴨)
みちしるべ
2019-05-09
正直言って、史上初の10連休という長期休暇に戸惑いを隠せなかった。この長い祝日をダラダラ過ごした方も多かったに違いない▼欧州のようにバカンスを楽しむ慣習のない日本人の休暇の使い方の多くは行楽か観光旅行で、県内の観光地も多くの人出で賑わった。地元の人は敬遠する鳥取砂丘もそうだ▼広島、松江経由で、鳥取そして姫路に4日間の旅行をするという山口の若いカップルは「鳥取砂丘へ渋滞も少なく比較的スムーズに行けた」と話した。これも、長期休暇で県外からの客入りが分散したためだろう▼一方で、県土整備部をはじめ交通に関わる関係者が渋滞を解消するために有効な対策を取った成果もある。「無料の高速道(鳥取道)があるのもいいですね」とも。待望久しい鳥取西道路もいよいよ12日に開通する。(鶯)
みちしるべ
2019-05-08
過去最大級の大型連休も終わり、令和の仕事始めを迎えた。長く休んだせいで、体調や気分が普段のペースと違うと感じている人も多いだろう▼連休明けには体調を崩すケースも多いそうだ。「早く通常のリズムに戻らなければ」というストレスのほか、休日中の食生活の乱れ、さらに休み明けのため仕事量が増えることも原因として挙げられる▼気分や体調が万全でなければ、些細なミスが起こる可能性も高くなる。普段のペースに戻るまでは、より慎重に行動することが必要だろう▼建設業では小さな油断が大きな事故につながることもある。過去に起こった事故の事例を見ても日頃の安全管理の重要性を再認識させられる。この数日は普段以上に安全管理を徹底する必要がありそうだ。ご安全に(鷹)
みちしるべ
2019-05-07
山々の緑が色濃くなり「令和」の新時代が幕開けした。知事選からちょうど1カ月。選挙中がまるで充電期間だったかのように、平井知事は4期目の県政を精力的に再開。選挙戦で掲げた55の政策課題ごとに五つの新時代プロジェクトチーム(PT)を立ち上げた▼業界に関連する政策項目は、河床掘削や流木対策、志戸坂峠道路整備…それに米子―境間を結ぶ高速道路の構想などだ▼鳥取西道路が12日に全線開通するものの、今後4年間で新たに完成する幹線道路はなく、そういった意味では新鮮さに欠ける。「防災・減災」「国土強靭化」の集中投資で向こう3年間の公共事業費は増えそうだが、その先の見通しはどうか▼「令和新時代を開く」のキーワードにふさわしい、新たな業界の目玉を何か探し求めていきたい。(鷲)