コラム
みちしるべ
2025-02-17
1年の日にちごとに設定される誕生花。起源はギリシア・ローマの神話時代まで遡るという。今日17日の花は「ネコヤナギ」だそうだ▼ネコヤナギはヤナギ類の一種。銀白色の花穂がふわふわとした産毛に見え、ネコの尾に似ていることからこの名が付けられた。また、同種の中でも一足早く花を咲かせことから春の訪れを告げる花とも言われる。今週もまだ寒い時期が続く。そろそろ暖かくなることを期待する▼さて、環境に関連する河川整備の工法は多数あるが、ネコヤナギを利用した工法が存在する。既設コンクリートに水際植生を短期間で再生させる緑化工法とし、生息環境の改善が期待される▼ネコヤナギの花言葉の1つに「努力が報われる」という意味がある。植物復元の研究で生態系が守られることを願う。(鴎)
みちしるべ
2025-02-14
初任給30万円―人手不足を背景に、大手企業が賃上げ競争に走っている。労働環境は地方との格差が開くばかり。中小の企業が人手不足を賃上げで解消できたとしても、そのために経営資金に行き詰まれば元も子もない▼賃上げもそうだが、働き方改革にはいろいろある。建設業界にとって欠かせない警備員。立ち仕事が当たり前の警備に、椅子を取り入れる動きが広がっている。交通量が多い現場では難しいが、車両や通行人が来ないときは座って監視する。身体への負担も減り、警備会社にとっても重労働のイメージが払拭できるという▼働き方改革はデジタル化の導入だけではない。肩肘を張って取り組まなくとも、ちょっとした改革は身近にあるもの。工事現場で椅子に座っている警備員。こうした変化を周囲も受け入れる姿勢を大切に。(鷲)
みちしるべ
2025-02-12
最近よく耳にする言葉に「蛙化現象」がある。自分の周りでは聞きなじみがないが、テレビなどでは度々見聞きする▼検索すると「好意を抱いている相手の行動や言動が原因となり、嫌悪感を抱いたり、気持ちが急激に冷めること」との解説が。由来は、グリム童話の王女が最初カエルを嫌っていたのに、最後にカエルが王子に戻って結ばれるという物語からだという。新しい言葉は時代とともに生まれるもので、「ナウい」や「チョベリバ」などその時代の時勢に合わせて誕生している▼建設業の流行語では、「ICT」や「CCUS」などの言葉が思い浮かぶ。それに加えて「働き方改革」、「新3K」などは現在の建設業が目指していることを表している。これらの取り組みを定着させることが、若者たちの建設業への「蛙化」を防ぐためにも重要だ。(雛)
みちしるべ
2025-02-10
球春到来。プロ野球の春季キャンプが始まり、にぎやかな話題が聞こえる。新監督や有力選手はもちろん、期待のルーキーはプロという大きな壁を越えて活躍する姿を早く見たい▼華々しい話ばかりではなく、昨シーズンに故障した選手はどうだろう。身体のメンテナンスも進んだか。体調管理や練習のメニュー作りには「トレーナー」と呼ばれる人達の存在が大きい▼公共施設のメンテナンスはどうだろう。埼玉県八潮市では幹線道路が大規模に崩落した。知人は、出張で同市を訪れた時に事故現場の目の前にある「蕎麦屋」に入ったこともあり「他人ごとではない。鳥取県内はだいじょうぶか」と問われた▼維持管理のメニューは進化したが、危険は多く隠れている。インフラ整備に携わるすべての人が、さらなる知恵を絞らなければ。(鷺)
みちしるべ
2025-02-07
石破茂首相の独特の言い回しが「ねばねば構文」と呼ばれているそうだ▼ゆっくりした口調での「~せねばならない」が口癖で、結論、結果が見えにくく、時間もかかるのが特徴。誠実に答弁しているようでいて、肝心な所では言質を与えず、野党は手を焼いているとか。少数与党下での新年度当初予算案の成立が通常国会の課題。野党の賛成を得ねばならない中、粘り腰で通過させられるかが焦点だ▼業界が注目するのは、当初予算の公共事業関係費が安定的、継続的に確保されてきた中、野党による修正の矛先が向けられないかどうか。県建設業協会は首相に対し、資機材価格の高騰を踏まえた事業費の確保などを全国建設業協会とともに緊急要望した。しっかり結果で応えてもらわねばならない。(鴛)
みちしるべ
2025-02-06
某大手家具小売業の採用戦略を聞く機会があった。10年ほど前からインターンシップの制度を設けており、最大5日間で5職種を体験できるという▼重視しているのは関係性の構築で、期間中に採用活動は一切行わない。真摯に学生の疑問に向き合い、体験の質を高めた結果「先輩が後輩に勧めて連れてくる」という好循環が生まれたそうだ▼学校も組織も、人が入っては抜けていくもの。決して永続的でないことを前提に、10年、20年先を見て手を打っていく必要があると訴えた。まさに「流れる水は腐らない」▼―が、その通り道には耐用年数がある。下水管の老朽化がにわかに脚光を浴びる中、更新に向けては地中で入り組んだ配管や図面にない埋設物がネックに。50年先を見据えた維持管理計画はどこで滞ってしまったのか。(鵯)
みちしるべ
2025-02-05
今3日は立春だった。暦の上では春になったとはいえ、今週は今シーズン最強の寒波が襲来。現実ではようやく冬本番といったところか。春が待ち遠しい▼この時期は受験シーズン真っ只中。県立高校特色入試は、東部の実業高校で募集人員に対しての志願者が極端に少ない状況。鳥取工業高校は定員割れが続いた影響で、新年度の入学生から「くくり募集」となり、2年次に建設や機械、電気などコース選択する形をとる▼東部の建設業者では近年、数少ない鳥工生を獲得することから、他の普通科高校の生徒にアプローチする手法に変えた業者も多い。ある社長は「現場に出たら最初は皆ペーペーだから問題ない」と話す▼「人手不足」は業界も学校も同じ。魅力発信で子どもたちの心を掴むことができるか。それが鍵となる。(隼)
みちしるべ
2025-02-03
人類の負の歴史を学びたくてアウシュビッツ強制収容所を訪ねたことがある。ガス室や犠牲者の遺品が残る現地を見て歩き、肌で感じたのは、大量虐殺という凄惨な出来事があったことへの生々しい恐怖。「あの時、まさにこの場所で」▼跡地ではこのほど、解放から80年の追悼式典が営まれた。出席者の一人は「過去の行為を思い起こすことで、我々は今を知り、未来を形成することができる」とスピーチ。当時を知る人が減少し記憶の継承が課題となる中、文化遺産を守り、使っていく意義を改めて実感させられた▼県内では県建築士会が昨年、「とっとりヘリテージ協議会」を立ち上げ、地元の歴史的建造物の保存と活用に乗り出した▼温故知新。活動が実を結び、足を運べば学びや気づきを得られる建物が多く掘り起こされるといい。(鸛)
みちしるべ
2025-01-31
職場の近くで、ホテルの建設が進んでおり、窓から見える鳶職の職人技に見入ってしまうことがある▼高所での足場の組み立てや重量物の取り扱いなど高い技術力を求められる鳶職。建築現場では、高所で軽やかに舞う姿から「建築現場の華」とも呼ばれている▼歴史を振り返ると、火災が多かった江戸時代には、建物を素早く壊して延焼を防ぐなど、消火活動にも従事していた。我が身の危険を顧みず、羽織姿で燃えさかる炎に立ち向かう姿はヒーローとして、町人たちから尊敬されたと伝えられている▼作業足場を組む足場鳶、高所で建物の骨組みを作る鉄骨鳶、重量物を運搬、設置する重量鳶など、この人達は建設業界に欠かせない存在だ。危険な仕事だが、ヒーロー達の働く姿をこれからも応援していきたい。(燕)
みちしるべ
2025-01-30
基本給の6%以上引き上げや初任給30万円など賃金に関する報道が絶えない。どのように中小企業が対応するか注目される▼数々ある賃上げの逸話で、ヘンリー・フォードが労働者の賃金を2倍にした作戦は有名。その効果は絶大なもので、離職率は下がり、人事の宣伝広告費や新人の教育研修費も不要と、従業員の給料増加は様々な効果があると示された▼建設業界の給料は低いと言われるが、この10年で約23%アップし最も平均年収の上がった産業と統計結果がある。国交省が示す若手の離職理由では日給制がトップ。移動の多さや休暇に続き、給料は4位である▼時代に乗り遅れまいと賃上げを試みる企業もいるが、労務単価引き上げに対し予算が追いついていない。業界の賃上げは事業量の確保が大事になる。(鴎)