コラム
みちしるべ
2024-03-21
夜半の冷えも和らぎ、桜の開花予想が出始めた。山陰地方では週明けにも春の訪れを感じられそうだ▼大陸文化の影響が色濃い万葉集の時代、花といえば梅か萩だった。桜が主流になるのは平安の世。それも散りゆく無常を歌った叙情的な句が、古今和歌集に多く詠まれている▼喪失の美に対する高い感受性の下地には、やるせない事情も。季節の変わり目には疫病が流行り、桜の盛りの短さはそのまま生の儚さと重なった。花弁に宿るとされた疫神を鎮める「鎮花祭」の風習は現代にも伝わっている▼凶兆としてのイメージは今や昔、今年も法勝寺川沿いの桜並木は見物客で賑わうだろう。流域治水を展開する中ではそんな水辺の景観保全も重要な観点。人の命も花の命も、建設の力で守ることができるはずだ。(鵯)
みちしるべ
2024-03-18
「値上げ」―。この3文字を聞くもしくは見るたび、家計をどうやりくりするか考えなければならない人も多いだろう▼この4月にも食品や日用品の値上げが相次ぐようだ。加工食品、調味料、お菓子類…挙げればキリがない状況だ▼お菓子の値上げで話題になったのは、赤城乳業が製造、販売している「ガリガリ君」。2016年以来の値上げで70円が80円となり、社員一同が深々とお詫びしている写真が広告に使われていた。これだけでも充分インパクトがあるが、同社では今後の値上げにも備えて、数パターン写真を撮っており、値上げを逆手に取った宣伝と言えるだろう▼建設業でも各単価の値上げは続く。ただ、民間建築の中には設計単価が以前のままで積算が合わないことも。施主の理解が必要不可欠だ。(隼)
みちしるべ
2024-03-15
色というものは生活において重要な要素として位置付けられる。ファッションや芸術、欲や感情など時に大胆に、時に繊細に、同じ色でも表現の仕方が違うことに面白く思う▼色とは何か。様々な分野の学者が存在した中、色彩学者というものは過去1人もいない。これだけ身近で奥深い要素がゆえに不思議に感じる▼ニュートンのプリズムを使った実験は有名である。物理学でいうと色そのものは「光の波長」だが、精神学者のフロイトや色相環 を作った詩人のゲーテ、人智学のシュタイナーなど分野の違う偉人たちが色について唱えている▼ 建築物でも色が持つ意味は大事になる。外装の色というものはそれぞれ何かしらの役割を担っており、また周辺を検討しなければならない。同じ規模や用途でも選定する論理が異なってくる。(鴎)
みちしるべ
2024-03-14
バレンタインのお返しにと和菓子店へ。車を降りると雪交じりの冷たい風。もう3月も半ばというのに。週末にかけては気温が上がり、寒暖を繰り返しながら春へと近づく▼国会は昔ながらの「政治とカネ」の問題で大合唱。だが、派閥による裏金作りの真相を解明するに至らず、有権者は冷たい視線を向ける。政治不信を誘因するケースは身近にもある。県議が詐欺事件で辞職、寄付の公選法違反で失職…▼新風を吹き込むことができるか。鳥取市選挙区の補欠選(欠員2)が15日告示(24日開票)される。業界出身者を含む3人が立候補を表明。前回、同選挙区の投票率は40%台前半と低迷しており、不祥事後だけに今回はさらに落ち込むことも▼「政治は有権者を映す鏡」―投票所に行くことはもちろんのこと、熟考した上での判断を。(鷲)
みちしるべ
2024-03-13
何やら鼻がムズムズ―。何が起きているのか、それは花粉。環境省が公表している花粉症環境保健マニュアルによると、日本における花粉症の有病数は正確には分からないものの、3割ほどの人が患い、その多くがスギ花粉によるものだという▼政府は花粉症対策として2033年までに花粉の発生源となるスギの人工林を2割減らす考えだ。スギの伐採・植え替えを加速化させ、需要を増やすとともに、花粉の少ない苗木の生産拡大、林業の生産性向上と労働力の確保を目指すようだ▼林業を復活させ、花粉量の少ないスギに植え替えていくためには、資材としての価値を高めつつ伐採、植え替えの好循環を作らなければならない。成長の早いスギでも育つには長い年月がかかる。まだまだ花粉症との付き合いは続きそうだ。(雛)
みちしるべ
2024-03-12
3月も中旬になると春を感じる日も多くなる。日が暮れる時間は遅くなったし、春の花も芽吹く。河川敷には「菜の花」も咲き始めた。それでも、冬用タイヤを交換するのはもう少し先か▼先日、取材のため鳥取市の佐治町に向かった。ここも例年に比べると雪の少ない冬だったが、この日は冷たい雨が降り春の訪れはまだか▼この地域は昨年の豪雨で大きな被害を受け、インフラの復旧工事が本格化している。山に囲まれた狭い場所を走る唯一の幹線道路は常に災害と隣り合わせ。同じ被害を繰り返さないためにも土木の知恵を絞らなければ▼この道路を上り続けると岡山県に抜ける。観光地とは言えないし峠の道は険しいが、若葉や紅葉の頃は絵のような風景を見られる。穏やかな春の日に、また来よう。(鷺)
みちしるべ
2024-03-11
野球ドラマではなく、建築士が主人公のドラマだそうだ。テレビ朝日系で4月に始まる開局65周年記念の「Believeー君にかける橋ー」。15秒間の番組告知映像の内容が、主演を務める俳優・木村拓哉さんが振りかぶって投げるような姿程度だったため、勘違いしていた▼このほど解禁された情報によると、大手ゼネコン土木設計部に所属し、橋づくりに情熱を燃やす建築士の物語。看板枠の木曜夜に据えるそうで、ネット上でも反響。視聴が楽しみだ▼建設業界は慢性的な人手不足が課題。こうした中、春の入社式の取材依頼が寄せられると、ほっとする。今月に入り、来春卒業の大学生などに対する会社説明会が解禁された。番組効果により、少しでも業界に目を向ける人材が増えるといい。(鴛)
みちしるべ
2024-03-08
21世紀の『資本論』と言うべき『LE CAPITAL』を上梓したトマ・ピケティ。彼が過去200年間の経済統計から導き出した結論は「r>g」の不等式に集約される▼第二次大戦直後を除けば、資産利益率(r)が所得伸率(g)より常に優位。つまり「働かずに投資しているほうが儲かる」という、資本主義社会にとって不都合な真実を知らしめた▼米子市出身の経済学者・宇沢弘文は、こうした市場原理の暴走に警鐘を鳴らす。教育、医療、インフラなどの社会的共通資本なくして、豊かな社会は成立し得ないと訴えた▼バブル絶頂期の水準を越えた国内株価に対し、実質GDPは2期連続の減少。真に実体を伴う成長なのか、独り歩きする市場が生んだ張子の虎なのか―「哲人」宇沢ならどう見ただろう。(鵯)
みちしるべ
2024-03-07
桜の開花が待ち遠しい季節となった。今シーズンは、全国的に平年並みか平年より早い開花と予想されている▼ソメイヨシノの開花には「桜咲く600度の法則」と呼ばれるものがある。2月1日以降の毎日の最高気温を足し、合計が600度になったころに桜が開花するという。年によってばらつきはあるが、おおむねプラスマイナス50度の範囲に収まっているようだ▼桜と結びつきやすいのが、高校や大学など学校の合格発表。5日は県立高校入試の学力検査が、6日には面接が実施された。また、大学入試の前期日程の合格発表も真っ只中だ。受験生が無事合格することを願う▼そして、建設関係の学科に進学する子たちが将来、積極的に建設業を選ぶような動きになれば、人手不足の問題は緩和されるかもしれない。(隼)
みちしるべ
2024-03-06
寒暖差が激しい時期になってきた。先週は雪も確認され、まだまだ夜の冷え込みには気をつけなければならない。年度末に向け忙しくなる。体調管理はしっかりとしたい▼ 夏バテにくらべて、春バテという言葉はあまり聞き馴染みがないかもしれない。昼と夜の寒暖差が大きくなり、自律神経が乱れるため起こる。気候の変化そしてビタミン不足、生活習慣が原因となる▼スーパーに行くと春キャベツなど旬の食材が並ぶ。春キャベツは春に収穫されるからと思いきや造語。正確には春系キャベツと呼ばれる。葉の質が柔らかく生食に向いてるためビタミンが多く取れるのでオススメの食材だ▼建設業が農業へ参入するケースが見られる。農繁期は建設事業が比較的少ない時期と重なるとか。新たな挑戦だが人手が気になる。(鴎)