コラム
みちしるべ
2024-07-26
短い梅雨だったが、地域によっては激しい雨が降る時間もあり、土砂が崩落するなどの被害も出た。季節は盛夏。「きれいな夏空」という言葉は、もう使えないほどの酷暑が続く▼学校は夏休みだが、昔とは違って川や海辺で子供だけで遊ぶ姿は見かけない。それでも、近くの広場で汗まみれになってボールを追う姿を見つけると、なつかしい思いがよみがえる▼大変な思いをして働いているのは炎天下や風も通らない建物内部での工事。さらに、照り返しをもろに受ける屋根の上や屋上などで働くすべての人達だろう▼猛暑だけではなく豪雨や豪雪の日。そして、危険な災害現場の緊急対応に駆けつける。昼夜を問わずに地域を守る現場の主役は、いつの時代もこの人達だ、ということを片時も忘れてはいけない。(鷺)
みちしるべ
2024-07-25
大手生保による夏休みに関する調査によると、出費計画が二極化しているそうだ。旅行や帰省に使う予算を「増やす」と答えた人は16・0%で前年と同水準だった一方、「減らす」と答えた人は5ポイント増の20%となり、減らす人が増やす人を逆転。ともに理由は物価高や円安の影響による旅行費用の高騰と同じだが、対応は、費用はかさむがお金をかける人、節約する人に二分された。ちなみに、全体平均は前年比14・2%増の8万2964円。8万円台への復活は6年ぶりらしい▼夏が終われば、工事発注は後半戦に入る。適正な請負代金の設定をはじめ、発注側が節約志向ではなく、しっかりとした物価高対策を講じ、利益を「減らす」事業者が少なくなることを願ってやまない。(鴛)
みちしるべ
2024-07-24
取材先で出会ったある技術者は、「仕事は嫌い」と一蹴する。やり甲斐や達成感とは無縁の、ただの「食い扶持」に過ぎないと言ってはばからない▼しかし彼は、現場で絶対にミスをしないのだ。問題が起きれば工期が遅れ、事実確認に時間を取られる。とにかく早く仕事から解放されたいものだから、不安の芽を潰す手間を惜しまない▼結果的に良いものを作り続ける彼を、会社も職場の人々も、発注者も認めている。かといって表彰受賞の感想が「ああ、うん」では、こちらは困ってしまうのだが▼仕事に対するエンゲージメント(熱意)の向上が叫ばれる。だが、本当に万人に必要なものなのか。粛々と目の前の仕事をこなす、「職人肌」と呼ぶべき伝統的な仕事観まで捨て去るべきなのだろうか。(鵯)
みちしるべ
2024-07-23
本格的な夏シーズン。暑い日が続く。もっとも、近年は四季ではなく、夏と冬の二季と言ってもよいだろう▼「夏」という単語の語源は諸説ある。一つは作物が木や畑に「なる」から。もう一つはとても「あつ」いから。そして最後は太陽光で様々なものが「ねつ」を帯びることから。直接「なつ」とは言っていないが、どれも音は近い▼最近の暑さは命の危険すら感じるレベルだ。熱中症警戒アラートもたびたび発表されている。工事も本来は止めるべきだろうが、工期の都合上、止められない▼ある自治体では猛暑日の場合の工期延期などを検討している。ただ、現実化は難しい雰囲気だ。猛暑で工事を止めざるを得ないなら工期延期を、止めないのであれば経費を上乗せ対応しても良いかもしれない。(隼)
みちしるべ
2024-07-22
今日7月22日は、下駄の日。「七寸七分」など、下駄の寸法に7がよく使われ、下駄の歯型を並べると「二二」の模様になることから全国木製はきもの業組合連合会が制定した▼下駄は日本の伝統的な履物で、「下」は地面を意味し、「駄」は履物を意味する。明治時代から外出する際、下駄を履くのが普及したことで下駄箱という家具も生まれた▼長年馴染み深く使われてきた下駄箱という言葉。今では「靴箱」などと違う呼び方が自然になり、下駄箱がジェネレーションギャップを感じる言葉になるのも時間の問題なのかもしれない▼言葉に限らず時代によって変化する世の中。建設業界の人材確保は、今の働く人達がジェネレーションギャップを感じるくらい、働き方に変化を加えるのが大事になる。(鴎)
みちしるべ
2024-07-19
雨の日の休日。悠々自適に晴耕雨読とはいかない。草に覆われた庭を見れば、放っておくわけにもいかず、むしり取る。この後始末も大変だ▼梅雨は明けたころか。先日の雨では、災害復旧中の現場がいくつかやられたと聞いた。「梅雨末期の大雨」と言われるように、注意を怠らないようにしたい▼人手不足で下請けや、資材を運ぶ運転手もいないといった声が相次ぐ。さらに物価の高騰が追い打ちをかける。一方で「払うものを払えば、ヒト、モノも集まる」と言う業界人がいる。つまり「賃金(カネ)が安いからだ」と▼賃上げは一部にとどまり、他産業との格差が拡大しつつある。売上が横ばいのままで、人件費だけ増やせられるか。簡単な構図に経営者の多くが悩まされている。(鷲)
みちしるべ
2024-07-18
パリ五輪を目前に控え、東京五輪で新競技として注目されたスケートボードも今大会の種目に含まれている。同競技で日本は金メダル3個を含む5個のメダルを獲得した▼国内でスケートボードに大きな注目が集まり、月日が流れた今でも全国各地で練習場所の整備を求める声が上がり、施設整備が進むなど余波を生んでいる。東京五輪後の2023年5月時点で公共スケートパーク施設数は、434施設あり、17年時点で100施設だったことからも、いかに施設整備の勢いが増しているかが窺える▼28年のロサンゼルス五輪でも正式種目に内定する中、これからも練習場所の需要は増していくだろう。県民がスポーツを楽しむ場も建設業界なくして成り立たない。建設業がスポーツの発展も支えている。(雛)
みちしるべ
2024-07-16
子供の頃の梅雨は、今ほど気温が高くなかった。やはり、地球は温暖化を通り越えて「沸騰」しているのかと、思い始めた▼梅雨の末期は毎年、大きな災害が発生する。想定外の被害だった、というだけでは済まされないほど、自然災害の規模は大きい▼今月の初めに鳥取大学准教授の中村公一さんが「能登半島地震で発生した液状化被害」について講演した。地盤工学の専門家で多くの被災地を歩く。道路の向こう側は何ともなかった場所などエリアは限定的だが、被害は甚大だった▼調査やデータの解析は続くが、地盤改良工事の効果はあったと話す。今、土木と建築の専門家が共同で液状化対策に何が有効なのかを考えている。巨大化した災害に立ち向かうインフラを構築するために。(鷺)
みちしるべ
2024-07-12
絵本「大ピンチずかん」が発行100万部を突破したそうだ▼子どもが陥りがちなハプニングについて、レベルの大きさなどで分類し、対処法を紹介。セロハンテープの端が見つからない▽牛乳をこぼしてしまった▽自転車がドミノ倒しになった―など。誰もが思い当たるような事例に、ユーモアあふれた対処法が好評となっており、発売から2年半足らずで部数が大台に。絵本のジャンルでは稀という。続編の「大ピンチずかん2」では、陥った理由を解明。絵本は親子のコミュニケーションツールとして人気という▼真夏日が続き、体調管理が難しい時期に入った。現場では疲労がたまり、注意力が散漫になりがち。熱中症も警戒される。大ピンチに陥る前に、起こりうるリスクを改めて確認し、安全に努めてほしい。(鴛)
みちしるべ
2024-07-11
スタジオジブリとプロデューサー・鈴木敏夫に焦点を当てた巡回展が、9日から岡山を会場に始まった。連休を前に小旅行の予定を組んでみるのも一興▼鈴木の直弟子に当たる石井朋彦が、共通のパートナーである宮崎駿を「イチロー並みにストイック」と評しているのを聞いたことがある▼出社してコーヒーを飲み、少し雑談して席に着く。作画に悩んだらスタジオを歩き回り、毎日同じ弁当を食べて同じ時間に帰る―しかしこれを50年続けてきた宮崎だからこそ、逆に些細な変化や新鮮な出来事に敏感なのだ、とも▼映画制作同様、時に数年間に及ぶ工期の中では、つい日々の仕事をこなすばかりになりがち。微妙な違和感を見逃さないよう自分のペースを確立することで、安全かつ質の高い施工を目指していきたい。(鵯)