コラム
みちしるべ
2021-04-30
コロナに背を押されてか、ICT活用の現場に伺う機会が急増した。スマホやタブレットを携え、頭上にはドローン。データで完結する高精度な測位も実用レベルに達していると聞いて、超ネットワーク社会の到来を肌で感じている▼小さい頃、そんなSFめいた世界に憧れた。だからこそ今の子供達が夢見る職業のトップが「会社員」だったことは驚きだ▼6年前、野村総研らの調査を受け「ホワイトカラーの綺麗な事務仕事はAIに一掃される」と語り草だった。成熟社会において人はクリエイティビティが問われるようになる、と▼無から有を生み出す建設の世界は創造性に満ちている。子供達を無くなる仕事に動機付けないためにも、理想的な現場作りを進め、魅力を発信し続けてほしい。(鵯)
みちしるべ
2021-04-28
今年も本紙の「ニューフェイス」で建設業界に入職した若手社員が続々と顔を並べる。小欄も数社取材させてもらった。自分が思い描く理想や将来像をハキハキと話す姿に、最近の若い人はしっかりしているなという印象を受けた▼今の若者は、積極性にかけるなどの特徴を持つ一方、真面目・チームワークを大切にするといった強みを持つという。そのため、個人の昇格よりも職場の環境を重視する▼現に、数年前にニューフェイスで取材させてもらったある会社の若手社員は「仕事が辛くても会社の雰囲気が良いので頑張れる」と話す▼「今の若者は根性がない」とよく聞くが、育ってきた時代背景がこれまでとは全く違うのだ。若者の特徴を把握し、それに応じた育成を続ければ、必ずや会社の宝となる。(鴨)
みちしるべ
2021-04-27
建設業では、人材の確保と育成が喫緊の課題になっている。一般的には、この人材とは技術者や技能者のことを指すが、経営者も育成していかなければ業界は存続しない▼県東部建設業協会は、今年度から青年部を立ち上げる。若い経営者や経営者候補が中心になって、今後の建設業のために何ができるか。今から注目していきたい▼鳥取市上水道組合では2015年に設立した「次世代の会」の会長が交代した。コロナ禍で、社会状況を見ながらの活動となるだろうが、技術の研鑽や業界のイメージアップにつながる活動に期待したい▼若い経営者は経験が少ないかもしれないが、新しい発想がある。そして成長していく可能性も秘めている。新しい発想を受け入れ、伸ばしていく環境を業界全体で整えていく必要があるだろう。(鷹)
みちしるべ
2021-04-26
大型トンネル工の発注見通しが明らかになり、新年度早々からゼネコンを中心に騒がしくなっている。県が建設する江府道路「久連トンネル」(2609㍍)は60億円規模。5月連休明けにもWTO(政府調達協定)案件として工事公告される▼地元県内業者もJV構成員として参画するチャンスがありそう。だが、一部に腰が引ける県内業者も。というのも受注額2億8700万円の加算だ▼落札すれば他の身近な工事をよそ目に、半年以上にわたって苦戦が強いられる。大型工事に入札参加の門戸が開かれてはいるものの、県内業者にとっては目に見えない制約がある▼「受注すれば減点は当然」との声も聞こえてきそうだが、トンネル工事でもせめてWTO案件くらいは別工事扱いにできないものか。滅多とない機会なのだから。(鷲)
みちしるべ
2021-04-22
交通量の多い道路は大型車の通行も多くなり、車線の白線が見えづらくなったり舗装の状態が悪くなることが増える。先日、通勤などで使用する道路を走行中に、白線や舗装が見違えるほどキレイになっていた▼気付かないうちに工事が完了していたのは夜間工事のおかげだった。日中は工事を行わず、我々が就寝している際に工事を進めていた。通行止めや車線規制をしていれば、渋滞の発生も生じ、まだ工事をしているのかと思うこともあったかもしれない▼道路だけでなく、商業施設や鉄道の工事も営業時間外の遅い時間や電車の運行が終わった後に行うなど、利用者に支障が出ないように工事を進めることもある。建設業だけではないが、気付かないうちに誰かが活躍してくれていることに感謝して生きていきたい。(雛)
みちしるべ
2021-04-21
今年も国や県の各機関で出水期前の河川堤防点検が執り行われた。時勢を顧みて例年より規模を縮小するところもあったが、やはりこの時期の安全確認は欠かせない。遠くからでは気付かない河川施設の傷みを真剣な面持ちで見まわる参加者達の姿に、その重要性を改めて認識させられた▼すぐ背後に民家や田畑を背負って立つ堤防は、地域住民の安全安心な生活実現に直結する重要なインフラ。作って終わりではなく、その後の適切な維持管理もまた重要である事は言うまでもない▼河川災害といえば、八頭郡などで被害をもたらした2018年豪雨などが思い起こされる。あのような甚大な災害がまた起きない事を祈ると共に、適切な維持管理の賜物として、いざという時には河川施設が十二分に効果を発揮してくれることを願う。(梟)
みちしるべ
2021-04-20
業界団体の定時総会が一気に開催される時期になった。組織の規模は大小様々だが、今年はどんな話が聞けるのか。総会が集中する日は、会場と時間を間違えないように取材に向かう▼先日は、少ない会員で運営する組織の総会を取材した。規模は小さいが、特殊な技能を持つこの団体は専門性の高さをアピール。長く続けている災害対策の活動は高い評価を得ている。多くの地域から頼られる人たちだ▼近ごろは、自らの持ち味を積極的に発信する団体も多くなった。地域の防災活動に多くの会員を派遣する技術者の組織や、毎年、子供たちを集めたイベントを開いている団体もある。地道な活動だ▼組織はあまり大きくはないが、災害時には高い技術と技能を持つこの人たちの存在が本当に欠かせない。(鷺)
みちしるべ
2021-04-19
3月末に観覧したキャリア教育に関するセミナーで、大山町のコミュニティが取り上げられていた。空き家を丸ごと使った子供の遊び場で、地元の方ならご存知だろう▼空き家対策も兼ねた小規模・地域密着の、都市社会学で言う「サード・プレイス」のような場が注目されている。急速なオンライン化で、自宅や職場に縛り付けられてしまう現状の後押しもあるか。心地よく過ごせる第三の場を提供する動きは活発だ▼特に若い世代が個人レベルから始め、後に大きなうねりを呼ぶケースが目立つ。そうした火種が身近にある実感を覚えた▼立て続けに続投を決めた米子市・大山町の首長も若く、柔軟な発想に期待する声は多い。小さな火種を察知し拾い上げ、地域を照らす炎に育ててほしい。(鵯)
みちしるべ
2021-04-16
暖かい日が続いており、水田に目をやると、トラクターなどで土壌を整備する人の姿をよく見かける。日本穀物検定協会が発表した昨年の米の食味ランキングでは、県内産コシヒカリときぬむすめの2品種が最高位の「特A」評価を受けた。今後は星空舞など新品種の振興にも力を入れていこうとする機運が高まっている▼これらは農家の方の土壌づくりや水田管理の賜物であるが、決してそれだけではない。建設業も排水機場の整備やほ場整備などで、気候変動に対する農作物への影響を軽微にしている▼「ほ場整備したところで、農業従事者がいないのでは」という声を聞くこともある。しかし、農業従事者の減少が見込まれるからこそ、効率的で安定的な営農が必要。そのためには、ハード面を整備することが重要だ。(鴨)
みちしるべ
2021-04-15
昨年よく耳にした「仕事がない」という声。実際に数値で目にすると実感が湧く。本紙14 日付12面既報の20年度県内公共工事では請負額が前年度比9%減の1025億円だった。各状況も前年より減少した数字に目がいく▼発注者側でも同様の声が。「防災対策や維持系などは予算がつくが、道路改良系はなかなか要求通りにつかない」と関係者は話す。災害が多いからこそ、河川など防災対策が重要視されるのも分かる▼しかし、道路改良も重要なインフラ整備だ。道路の幅員が狭ければ日常生活はもちろん、緊急時の緊急車両走行に支障が出る。災害時に緊急車両が通れないとなると、被害が拡大する恐れも▼発注者が道路改良にも力を入れれば、業界に仕事が増え、地域の防災減災もでき正に「一石二鳥」ではなかろうか。(隼)