コラム
みちしるべ
2022-07-25
今の時代、新たな道路整備の事業化をただ要望するだけではことが進まない。安全対策は最優先だが、沿線の地域が掲げる観光や産業などのビジョンを支える具体的な道路計画を示さなければいけない▼県の東部地区には途中で行き止まりの県道が多くある。山間部に入ると地形が厳しいこともあるが、計画はずっと前から何も進んでいない▼県道の名前は県境をまたぐが、今や整備を検討するという表現さえ出てこない道路もあり、実現に向けた知恵を絞らなければ▼地域からの要望は、大型事業だけではない。修繕、除雪といった生活関連の項目もたくさんある。山間地の集落を抱えて高齢化が進む市町にとって、インフラの整備は欠かせない。こうした地域を支援する事業に行政の暖かさを見たい。(鷺)
みちしるべ
2022-07-22
日本最大の競走馬セリ市「セレクトセール」は今年、落札総額が約257億円と過去最高を更新した。主役だったディープインパクト産駒不在で迎えたが、競馬人気や新興馬主の積極応札による売買が要因。ウクライナ情勢の悪化や物価高が国内経済に影響を与える中、景気の良い話題となった。来年は大山ヒルズで育ったコントレイル産駒が上場される見通しで、楽しみだ▼売買といえば、後継者不足などを理由にしたM&Aが近年目立つ。建設業も例外ではなく、県西部だけでも今春から土木、建築、電気工事、管工事、建築資材と相次いだ▼競馬の世界では、レースの勝敗を分けるのは馬の力7割、騎手3割との格言があるが、M&Aでは割合はともかく、事業継続、雇用確保の観点から、協力して再編後の発展を目指してほしい(鴛)
みちしるべ
2022-07-21
5月以来の連休、各地で「3年ぶり」と冠した催事が散見されるも、国内観光産業の完全復活は未だ遠い。対して海の向こうでは、一足先に少々違った形で息を吹き返しているようだ▼民泊仲介を手掛けるAirbnbは対19年比で、売上・予約総額とも8割増の驚異的成長を遂げた。驚くべきは全利用者の2割が「28泊以上」の長期宿泊を希望している点。拠点を転々としつつ観光も仕事も生活もこなす「ノマド」的なスタイルは、かなり民主化が進んできたと見える▼潮流に乗れば地域経済へのリターンが期待でき、県下自治体事業の一部にもそうした狙いが垣間見える。しかし長期滞在は言わば、その土地で日常を暮らすことだ。観光目線の非日常的な魅力以上に、生活に根差した利便性を整える必要があるだろう。(鵯)
みちしるべ
2022-07-20
仕事でもプライベートでもよく自動車道を使うが、最近やたらと気になるのがワイヤーロープだ。至るところが大きく破損している。それだけ交通事故が多いということだろう▼ワイヤーロープが設置されているのは暫定2車線区間。ただ、橋梁やトンネル内は構造上設置が難しくラバーポールのみだ。長い橋梁などでワイヤーロープの検証も進められているので、結果に期待したい▼事故や渋滞緩和の面から見ても、完成4車線の計画区間は4車線化を進めてもらいたいのがドライバーとしての本音だ▼鳥取道や鳥取西道路、一般道なら国道29号津ノ井バイパスなども、完成4車線区間は用地がすでに買ってある。費用対効果で見ると予算が付かず4車線化工事に入れない。住民の安心安全面からも早期の4車線化を望む。(隼)
みちしるべ
2022-07-19
タクシーに乗車したとき、運転手からメーターについての話があった。今と貨幣価値は違うが設置当時の値段を聞いて驚いたのを覚えている▼タクシーが日本に誕生したのは1912年、京都での設立。100年以上の歴史を誇っている。当時は、1マイル60銭、0・5マイルごとに10銭ずつ増えていくシステムだった。大阪での1円均一タクシーの導入など歴史を振り返ると面白い。コロナ禍で、今では打撃を受けている▼建設業の打撃は資材の高騰化だ。意見交換会を取材しているとき、出席者が今の資材の価格は「タクシーのメーター」のように上がっていると訴えた。自治体でも資材高騰化へ対応はしているが、まだまだ足りない。思い切った施策を願っている。(鴎)
みちしるべ
2022-07-15
梅雨が明けたというのに、空模様はすぐれない。大気の状況が不安定になり、梅雨の時期がぶり返したよう▼先日は久しぶりに長靴を履いて現場に。県が土木遺産・若桜橋(若桜町浅井)の3D画像を制作する取材だ。歴史的に価値がある遺構のアーチ橋は昭和9年に竣工し、その姿形をHP(ホームページ)に公開。若い世代に関心を持ってもらう狙い▼今月23日には倉吉市駄経寺町に建設中の県立美術館を舞台に「土木ツアー」(県・土木学会主催)と、倉吉未来中心では「どぼくカフェ」も開かれる。夏休みに入る親子連れをターゲットにして土木の魅力を伝える▼以前に比べたら、こうした建設業の魅力をPRする取り組みは増えている。それぞれ地道な活動が積み重なって、担い不足の解消につながれば、将来の視界が開けてくる。(鷲)
みちしるべ
2022-07-14
電気自動車(EV車)は、航続距離の向上や価格の低下により、目覚ましい普及を遂げて、また脱炭素社会に向けて更に注目を集めている▼日本で自動車が使われ始めたのは明治時代のこと。それから一世紀の歳月が経過し、車の性能は飛躍的に向上したが、運転者の判断次第で簡単に事故が起きる状況は変わっていない。そんな中、世界中が自動運転の実現に向けて開発を進めている。AIが走行を支援する「レベル2」の技術はすでに市販車に導入されており、さらに高速道路など特定の道路で自動運転を行う「レベル3」機能を搭載した車が出てきている▼建設業界でも、AI技術を使った重機の遠隔操作や自動運転の開発が進められている。自動化の技術が一般化されれば、工事現場でも人身事故の発生は減っていくだろう。(雛)
みちしるべ
2022-07-13
予想もしなかった事件が発生し、多くの国民の間に驚きとともに動揺が広がった。理由はともあれ、この事態を断じて許すことは出来ない。安倍晋三元首相の冥福を祈る▼事件の翌日9日には、日本技術士会県支部が主催する定時大会が倉吉市であった。伊藤徹支部長と来賓に向かえた県危機管理局の水中進一局長はあいさつの冒頭、哀悼の意を込めた言葉とともにこの蛮行を非難した▼同協会は、十数年前から一般の県民を対象にした防災教育に力を入れる。生徒や学生、自治会などのほか、障がいを持つ人たちで組織する団体にも活動が広がる。危機管理への意識は高く、今回の事態にも敏感に反応した▼この事件の検証はあらゆる分野で進むが、政治家と国民の触れ合える場が減ることは避けたい。(鷺)
みちしるべ
2022-07-11
子どもたちの夏休みが近づき、旅行計画を思案する人が少なくない時期を迎えた。新型コロナの感染拡大を踏まえ、政府が今月前半を予定していた全国旅行支援の開始を延期する調整に入るなど、状況が刻々と変わる中、行き先は悩ましいところ▼帰省客の動き、3密を避けながら近場に出かける「マイクロツーリズム」が引き続き定番化するのかなど、今夏の動きは読めない。ただ、不特定多数が利用する公共交通機関を避け、マイカーを選ぶ人は増えたそうだ▼車移動といえば、県内の高速道路でワイヤロープの設置カ所が目立つようになった。安全性は増したが、あくまで暫定2車線区間での衝突事故の緊急対策。そもそも対面通行の高速道路自体、世界的に珍しい。安心感を高めるため、あるべき姿の4車線化を粘り強く求めたい。(鴛)
みちしるべ
2022-07-08
金融庁と東証は2015年から、上場企業を対象に「コーポレートガバナンス・コード」という行動原則を敷いている。昨年6月に2度目の改訂があったが、企業価値を高めるものとして無形資産、特に人的資本を大きくクローズアップした内容だった▼改訂のベースになった「人材版伊藤レポート」の中で、重要な指標に挙がるのが「エンゲージメント」。端的には「仕事への熱意」と捉えられるが、国際調査の結果、日本は世界平均の4分の1に留まっている▼海外基準だからと思いきや、パーソルの類似調査でも平均以下の95位。一方で「誰かの役に立つことへの使命感」は世界2位の高さだという▼社会的意義の高さが熱意に直結しないのなら、業界は働きがい以上の魅力を見出していく必要があるのかもしれない。(鵯)