コラム
みちしるべ
2023-03-27
鳥取県知事選挙が告示され、現職と新人が立候補し、17日間にも及ぶ選挙戦がスタートした▼県議会議員選挙も31日に告示されるが、総務省によると前回の統一地方選挙で無投票当選となった都道府県議会議員が26・9%だった。県内では35議席中3議席が無投票当選で、今回は5選挙区で無投票の可能性がある。地方議員の「担い手確保」も喫緊の課題であり、半ば名誉職のような感覚から脱却し、公益を担う職業として待遇や議会のあり方などの議論が必要だろう▼情報技術が発達し、SNSで一国の政権すら左右される。そんな時代の中で、より身近な問題に取り組むのは地方自治体だが、注目を浴びることがあまりにも少ない。地方自治は民主主義の基盤になるので、次代の担い手のためにも清き一票を。(雛)
みちしるべ
2023-03-24
彼岸を過ぎたこの頃になると春の気配が一気に加速する。千代川の河川敷には菜の花の「黄色いじゅうたん」が広がるエリアもあり、車を止めて写真を撮る人も多い▼それでも遠くの山肌にはまだ雪が残る。この冬は雪の降る寒い日が多かったが、平野部の積雪はそれほどでもなかったこともあり、車での移動に苦労は少なかった▼先日、鳥取市と三朝町を結ぶ佐谷峠を走った。つづら折りといわれるカーブが連続する長い坂道の道路だが、昔から親しみがあり年に何度か通る▼この峠の冬は厳しい。重要な幹線道路だが、雪崩の不安もあるため通行止めになることも。抜本的な改善策は「トンネル」だと思うが、難しいか▼峠の景色は山と狭い空だけだが、もうすぐ若葉の季節。絵のような風景が心地良い。(鷺)
みちしるべ
2023-03-23
熱戦が繰り広げられたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、日本代表の躍進とともに「ペッパーミルパフォーマンス」が注目を集めた。カージナルス所属のヌートバー外野手がチームに持ち込み、人気が沸騰。打者が安打や本塁打を打つと、ミルで胡椒を挽くようなポーズをするもので、「コショウを挽くようにコツコツと。チームのために身を粉にして働こう」との意味が込められているという▼選抜高校野球大会でも、披露した球児が審判から注意され、波紋が広がった結果、高野連がコメントを発表する事態に発展するなど、話題をさらう▼選抜の決勝が終わるころには、業界で新入社員を迎える会社が少なくない。球児のパフォーマンスに対する賛否はさておき、「コツコツ粘り強い」社員が多いと助かるに違いない。(鴛)
みちしるべ
2023-03-22
空前の盛り上がりを見せたWBCも、ついに22日朝8時から決勝戦。世界を相手に躍動する侍ジャパンの姿に、将来の夢を重ねた若者は多いことだろう▼次代のスター選手を生み出すため、野球の練習方法は日々進化する。近年ある強豪校が導入した、短距離走のタイムと投球スピードだけを毎週計測し、短期的なPDCAを回す手法は革命を起こしたそうだ▼走る速さと球速はおそらく、野球で最も使う筋肉の代理指標になっている。仮にこうした指標を業種別で設けることができれば、企業の人材育成にも転用できるのではないか▼新年度が目前に迫る。一人っ子家庭が増え年間出生数が80万人を割った今「1年生はとにかく球拾い」と言ってはいられない。若手入職者の育て方もまた、新たな道筋を探る必要がある。(鵯)
みちしるべ
2023-03-20
マスク着用のルール緩和から1週間。街中のようすはあまり変わらない。花粉症の季節でもあるし、コロナも5類相当に移行するのはゴールデンウィーク明けから。まだ予防でマスクをする人も多いだろう▼「予防マスク」が一気に増えたのは、2009年の新型インフルエンザ流行からと記憶している。当時中学生だったが、1年間マスク生活を送った▼コロナ禍ではリモートワーク・会議も主流となった。ただ、会議も最近では対面に戻りつつある。「対面の方が相手の心情を読み取りやすい」と、ある業者の社長は話す。そういう面では、意見交換会は対面の方が本音も引き出しやすいか▼春は総会シーズン。昨年よりもさらに対面、懇親会ありの団体が増えるだろう。今年はより多くの本音が聴けることを願う。(隼)
みちしるべ
2023-03-17
動植物の活動で春を感じる人は多いだろう。東京・靖国神社の桜の開花が、昭和28年の統計開始から最も早い記録に並んだ。3月に入り5月並みの気温が続いた全国各地で、開花の時期が平年より早くなりそうだ。今年の「お花見」は人が戻ってくるのか気になるところ▼600以上の種類がある桜は、気温との結び付きが強い。気象情報会社によれば「400度、6000度の法則」に基づき、2月からの最高気温の和で開花時期を予想するという。ただ、暖冬になりすぎると満開にならないまま散ってしまうなど難しい面も▼岐阜県にある「荘川桜」。樹齢400年以上のこの桜は、1960年のダム建設時に植木職人・丹羽政光によって移植された。脆弱な桜も今では満開。お花見気分で一度は見てみたいものだ。(鴎)
みちしるべ
2023-03-16
休日に鳥取市内を歩くと、すれ違う人たちの服装も変わってきた。めっきり春らしくなり、なかにはTシャツ姿の若い人も▼あと何本、出れば回ってくるかと皮算用。県が発注する工事は今週末の開札が実質、本年度の最終入札となろうか。今年度分か、来年度分か―総合評価「受注額」の分岐点は今月21日だから、この日を挟んでの開札は受注者側にとって大きく違ってくる▼同一クラス・工種の同一日複数件開札があったし、「制度だから」とは済まされない。春先の仕事を抱えておきたいとの思いは、だれしも同じだろう。発注機関によっては、そこが理解されていないところが見受けられる▼人気のない工事こそ、早く発注しておかなければ。受注新年度分の早々から仕方なく、取りたくもない工事に向かうのは何とも気がなえる。(鷲)
みちしるべ
2023-03-15
県東部で展開しているスーパーの「トスク」が8月、県中部で展開している「Aコープ」が来年3月を目途に閉店する方針が発表され、高齢化が進む中山間地域で買い物弱者などが発生する懸念が出てきている。県は対策支援チームを発足し、県内で営業する他社に店舗継承するなどの解決策を模索している▼他県では、ドローンを活用した地上輸送とドローン配送を融合した新しい物流サービスの導入が検討されている。気象条件や配送量、経路など考えられる問題は多いが、少子高齢化が進む現代で、同様の課題は全国的に広がっている▼建設業は地元の地形や気象に詳しく、仕事でドローンを使う企業もある。買い物支援、緊急物資支援などに向け、こうした取り組みに協力できることがあるかもしれない。(雛)
みちしるべ
2023-03-13
12年前のあの日は鳥取県内も寒い一日だった。金曜日の午後、取材先に向かう車のラジオで速報が流れる。その後、今まで聞いたことがない「大津波警報」というアナウンス。言葉が出なかった▼現地のインフラは整備が進んだが、産業を中心にした復興はまだ途中。住み慣れた土地から多くの人が離れたままという現実も▼南海トラフ地震などの大規模災害が想定される中、復興計画を事前に策定することを考える自治体も多い。復興の遅れによって、経済活動などが停滞。地域の人から再建への気力が失われるおそれが強いからだ▼地方の人口減少が加速。事前の復興計画はこの状況も踏まえたうえで、インフラや産業などの地域づくりを事前に考える。一日も早くより良いまちに再生する思いを込めて。(鷺)
みちしるべ
2023-03-10
開会中の倉吉市議会3月定例会で、成徳小と灘手小の統合に関する議員からの質問が相次いでいる▼新校名を巡り、当初案の「至誠」が白紙になり、両小校区の住民らでつくる準備委員会が決めた「打吹至誠」が新候補に上がったが、統合前の「成徳」とする案が可決されるなど、二転三転。春の開校を前に、保護者らから不満がくすぶり、市や市教育委員会の主体性を問う声が噴出し、問題は収まりそうにない▼学校再編といえば、米子市が美保地区で開校を目指す義務教育学校の整備に向け、新年度から測量、基本設計などの業務に入る。校名選定にとどまらず、通学路をはじめとした周辺整備が課題となる。にも関わらず、肝心の基本構想が未策定なのが気がかり。こちらは調整に念を入れ、後味の良い開校となってほしい。(鴛)