コラム
みちしるべ
2022-05-23
JR米子駅南北一体化事業を巡り、米子市が南北自由通路の通称名を6月の1カ月間募る。線路で分断されている駅の南北を繋ぐ延長140㍍、幅6㍍で来夏の完成予定。通称名の公募は、駅利用者や市民に親しんでもらえるようにと企画した▼通りに名称をつける取り組みは、鳥取大医学部付属病院前の「医大通り」、旧湊山球場前の「内堀通り」など既に8例。駅前に「だんだん広場」があることや、階段を上って往来する構造を踏まえ「だんだん通り」などの案が寄せられそうだ▼一体化事業は新駅ビル建設、駅南広場の整備などが続き、完成に向かう。総額76億円の大型プロジェクトだけに、発注者に対し、多くの地元業者から「だんだん」(地元の方言でありがとうの意味)との声が上がる事業であってほしい。(鴛)
みちしるべ
2022-05-20
本紙恒例の新入社員紹介も折り返しの頃。散見される非建設系学卒者の技術職採用に少子化時代のトレンドを垣間見るが、一概に悲観すべきでもないのかもしれない▼「パラダイムシフト」なる言葉の生みの親、科学史家のトーマス・クーンは、ある分野において革新をもたらす人間は一様に「非常に年若い」または「非専門家である」と指摘する▼進化論のダーウィンは地質学者。電話の発明者・ベルは電子工学ではなく音声学の教授。相対性理論のアインシュタインに至っては特許局の一職員―極端な例だが、いずれも大成した領域では掛け値なしのアマチュアだった▼専門知識によらない発想が常識を覆すこともある。しかし秘めた可能性が開花するには、彼らの意見が軽んじられない環境が必要だ。(鵯)
みちしるべ
2022-05-19
5月に入り「立夏」が過ぎ、暦の上では夏を迎えた。最近の気候からすると名実ともに夏と言っても過言ではないだろう。おまけにもうじき梅雨入りとなれば、気分は憂鬱だ▼梅雨入りすると心配なのが豪雨災害。行政は河川改修や治水計画などで防災・減災に努めている。一方、それを上回る勢いで気候変動が起こっているのが現状だ▼先日、ある施設の災害に対するハード整備について取材させてもらった。そこはバックウォーター現象が起きる可能性がある土地。施設ではライフラインのかさ上げを実施した。取材した施設長さんは「ハードだけでなく避難訓練も引き続き実施し災害に備えたい」と話していた▼産官学が連携し、災害に強い街づくりを進め、ますます増える自然災害に対応していかなければならない。(隼)
みちしるべ
2022-05-18
全国安全週間の準備期間が来月から始まる。今年度のスローガンは「安全は急がず焦らず怠らず」。どんなに簡単な作業でも確認を怠ってはいけない▼「安全第一」はどの現場でも同じ。日本で安全の象徴として用いられている緑十字の旗や垂れ幕をどの現場でも掲げている▼「安全第一」というスローガンはアメリカで生まれた。このスローガンには続きがあり「品質第二、生産第三」と続く。20世紀はじめ、悲惨な環境で働かされていた労働者達は、多くの労働災害に遭った。これを見たエルバート・ヘンリー・ゲーリーが当時の「生産第一、品質第二、安全第三」を変更し、今のスローガンとなったのが始まりと言われている▼作業中や通勤時など確認の徹底が大きな事故を防ぐ1つである。(鴎)
みちしるべ
2022-05-16
緑がまぶしい季節になった。「緑ぬう道」として整備された姫鳥線(鳥取自動車道)を走れば、トンネルの間から見える山々は色濃く、自然の強い生命力がこちらに伝わってくるよう▼鳥取IC南側の付加車線の完成はまだか。高速道路の対面通行は走行の安全性はもちろん、冬場の除雪作業でも排雪しづらい難点がある。片側2車線が本来の姿だろう▼米子道では県内全区間の4車線化に道筋が付いた。今年3月末、唯一残されていた溝口IC―米子IC間(4・8㌔)の事業化が決定。向こう概ね5年間で完成させる。事業費170億円▼トンネルや橋梁といった他の事業化区間と違い、盛土が中心とあって県内業者が参画できないものか。念願だった4車線化がせっかく決まっても、そこに地元業者が携われないのは何とも寂しい。(鷲)
みちしるべ
2022-05-13
ガソリン価格が高騰している。ウクライナ情勢の影響が大きいが、物価の上昇は公共工事にも影響を及ぼしている▼木材や鋼材の価格上昇など、先の見通せない状況が続き、工事費や資材の見直しなどを理由に予定していた発注時期が遅れる自治体もあるという。発注時期の遅れにより、施工する意思があっても繁忙期で人材や機材が足りなければ受注できず、必然的に収入の減少につながってしまう。そうなると削減の矛先が向くのは人件費で、給与が減るとやる気も落ち込み、人手不足に拍車をかけてしまう▼政府は4月から、国の公共調達における総合評価落札方式の案件で、賃上げを表明した企業への加点措置を行っている。給料条件が良くなれば従業員の意欲向上につながり、企業の信頼度も高まる。賃金上昇には期待したい。(雛)
みちしるべ
2022-05-12
3年ぶりとなる行動制限無しのGWが明けた。5月5日「こどもの日」には、袋川(鳥取市)や日野川(江府町)に数多の鯉のぼりが掲げられ、道行く人々を楽しませていた。美しい川辺に泳ぐ、鮮やかな鯉の群れ。実に優雅な姿だ▼こうした催しを楽しむため、我々建設関係者も一役買っている。恒例の河川点検では、国や県の職員達が堤防に破損など無いか具に確認して回った。河川を安全に利用する為に欠かせない▼発見した傷を直すのは業界の役目。それだけでなく、GW前の河川美化に汗を流した業界団体もあった。協会の社員が一丸となってゴミを拾い、美観を保つ。それもまた大切なこと▼「川の流れ」という大いなる財産を、安全かつ美しいかたちで次代へと繋いでいくために。これからも官民協働での整備が必要だ。(梟)
みちしるべ
2022-05-11
ゴールデンウイークが終わり、今週は長く感じる人も多かろう。連休は、それぞれの毎日だったと思うが、カレンダーは5月も中旬▼今週は、すっきりしない天気の日も多く、梅雨の季節も近いと感じる。今年の雨はどうか。冬は雪も多く降ったし、降雨量を今から心配する▼昨年は県内でも雨によって大きな被害を受けた地域があるなど、全国各地で災害は毎年発生している。県中部地区などでは被害発生直後から復旧工事に入っているが、まだ途上▼行政も早めの注意を呼びかけるが、自分たちが暮らしている地域は大丈夫だろうという気持ちが多くの人にはある。避難の遅れが惨事につながる▼地域から行政に出される要望の多くは公共施設の整備。難しい問題もあるが、危険は一つも見逃せない。(鷺)
みちしるべ
2022-05-09
各社が新戦力を迎えて1カ月。建設業の経営者から、新入社員との世代間ギャップや仕事に対する価値観の違いについての話をしばしば聞く▼新卒社員は1990年代後半から2000年代生まれの「Z世代」に該当。内閣府調査によると、家庭・プライベートの優先度が高く、生まれたときからデジタル技術に慣れ、効率性も重視するという。職業選択では自由度が高く、ワークライフバランスが整いやすい企業を好む傾向にある中、建設業は働き方改革の実現が難しい業種。週休2日制の推進、賃上げ加点措置などに加え、2024年には法改正に伴い、時間外労働時間の上限規制が適用され、対応が求められる▼大型連休が明け、社員の「五月病」が心配な時期だが、現代社会と向き合う経営者の悩みも深い。(鴛)
みちしるべ
2022-05-06
IBM製コンピュータ「ディープ・ブルー」がチェスの世界王者を打ち破ったのは、25年前のちょうどこの時期だった。寂しさに近い感情が大型連休明けの名残惜しさとない交ぜになっていたように思う▼同機はさらに改良を加えて売りに出された。価格は100万ドル、円換算で1億は下らない。その演算能力はいかほどかというと、今やミドルクラスのスマホ程度だ▼クイズのような一問一答形式でも、人間を上回るマシンが10年前に出現。一般化のスピードが維持されるなら、長らく優秀さの指標だった「正答を導く知性」はありふれたものになる▼例えば特許書類の作成は弁理士の資格業務だったが、ついにAIの導入が可能になった。2カ月かかった作業が1時間で済む時代、人の働き方は大きな岐路に立っている。(鵯)